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木造阿弥陀如来坐像 伝筑波山 中禅寺 鎌倉時代 |
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・解説
本作品は,膝前部分の裏に書かれた墨書銘により,筑波山中禅寺に伝来した仏像と考えられます。像容は右手を胸前に屈し,左手を膝上において来迎印を結ぶ阿弥陀如来坐像で裳先を欠失するものの,全体の保存状況は極めて良好です。また,像高52.8センチメートルという阿弥陀如来坐像のなかではやや小型に含まれるものの,体躯のふくよかさと頭部のバランスが安定感を与え,落ち着きのあるものとなっています。頭部は小さめに彫り出した螺髪と,一文字の髪際線が平安時代の定朝様の流れを感じさせますが,玉眼嵌入の技法などにより鎌倉時代に入ってから制作されたことが分かります。
本像は,頭部,体躯をヒノキの別材で造った寄木造です。頭部は前後矧ぎ,体躯も前後割矧ぎで内刳りし,腰部に三角材を矧ぎつけています。体躯の表面は布貼りサビ下地に漆箔としていますが,現在は殆ど金箔が消えてしまっています。
本仏像は,「筑波山中禅寺伝来と云 明治初年廃仏時代流出と伝」と墨書されていますように,中禅寺から運び出された可能性は強く,歴史的に見ても県内の貴重な仏像資料といえます。 |
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