(3)佐竹氏と奉加帳・棟札

 神社・仏寺の造立や修補,経典刊行などの事業を行うために,仏縁を結ぶ機縁になると称して一般の人々から寄進を勧める文書を勧進帳というが,この勧進を受けて寄付を申し出る文書を奉加帳といった。寺社・仏寺の造営に国家援助がなくなった鎌倉時代以後に行われた。奉加する財物を書き連ねた帳を奉加帳といい,単独で記録したものを奉加状という。佐竹氏においては,特に佐竹義昭の時多く見られる。現在では,甲神社(常陸大宮市)に奉加帳が残っている。佐竹宗家の勢力拡大や宗教政策と深く結びついているように思われる。

 棟札とは,建物の建立や修理の際,建物名,施行の年月日,大工名,願主などを書いて,棟木に打ちつけた板をいう。古くは棟木の下面に直接書いた棟木銘が多かったが,平安末期ごろから棟札がみられ南北朝以後はほとんど棟札になった。記載については,はじめは簡単であったが,次第に詳しく書かれるようになり,中には板の裏まで書かれた棟札も出てきた。佐竹氏の場合,義篤から義重にかけて多く見られ,奉加帳同様,佐竹氏の領国支配に関わりの深い神社に奉納された。奉納の形として佐竹宗家と佐竹一族の棟札があり,佐竹宗家で奉納した棟札は馬場八幡宮(常陸太田市),吉田神社(日立市),泉神社(日立市)にあり,一族が奉納した棟札は常陸大宮市(旧緒川村)の立野神社などに現存している。 

  

 

 

 

 

 

 


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