平成24年度 史料紹介展

【展示解説(各回30分程度)】
 
 ・9月16日[] 11:00〜/14:00〜

 ・9月22日[] 11:00〜/14:00〜

【開催の主旨】
 安政江戸地震は,安政2年(1855)10月2日夜四つ時(午後10時)に発生しました。当時の記録から,震源は東京湾北部のやや深いところ,マグニチュード7前後の内陸直下型地震であったと推定されています。


 この時期日本列島はマグニチュード7以上の巨大地震に見舞われていました。弘化4年(1847)3月24日善光寺地震(M7.4),安政元年(1855)6月15日伊賀上野地震(M7.6),同年11月4日安政東海地震(M8.4),5日安政南海地震(M8.4),7日豊与海峡地震(M7.4),安政2年2月1日には飛騨地震(M6.8)など。 安政江戸地震はまさに「地震の時代」といえる時期に発生した地震だったのです。


 またこの時期は「内憂外患」といわれ,幕府,諸藩ともにいくつもの課題に取り組んでいる最中でした。その最たるものが嘉永6年(1853)6月のペリーの来航であり,その再来にともなう翌年3月の日米和親条約の調印など,開国を迫る諸外国への対応でした。


 平成23年(2011)3月11日,私たちもまた東日本大震災により被災しました。マグニチュード9という巨大地震により,これまでの日常がどんなにかかけがえのないものであったかを痛感しました。そうした私たちが今157年前の地震史料と対面する時,知らず知らずのうちにこれまでと違った実感を持って,史料が語る内容が迫ってくることと思います。


 今回の展示は,当館の閲覧室で閲覧できる史料で構成しております。いずれもが先人たちが大災害と向き合った記録です。そこから先人たちのメッセージを受け取っていただくとともに,記録を残し,守り伝えることの意義を考えるきっかけとなれば幸いです。

 また,今回は特別に関連展示として「鯰絵」を展示します。「鯰絵」は安政江戸地震後わずか2ヶ月足らずのうちに爆発的に出まわった刷り物です。震災と復興,及びその間の社会情勢を巧みに取り入れ,200種以上もの鯰絵が発行されたといわれています。「鯰絵」からは,困難な中にあってもたくましく生きる市井の人々のエネルギーが伝わってきます。併せてお楽しみください。

【展示構成】
  T 史料にみる被災状況 /被災地江戸のようす
  U 領主たちの対応
  V 平穏を祈る
  W 江戸屋敷の再建と村々の負担
  X 女たちの安政江戸地震 /延期された慶喜の婚姻
  Y 鯰絵(壁面展示)

 

 

1

「日記」

(関沢賢家 83)

 「近年稀なる地震」と水戸城下下町のようすを書いています。 朱書きで江戸の被害の大きさを追記し,藤田東湖らが亡くなったことも書かれています。

 
 
1

「(十月二日地震の際の対応につき褒美)」

(三好家 4194)

 第11代麻生藩主新庄直計正室徳寿院を介抱し 無事に避難させたことにより, 奥女中そでに褒賞を与えた記録です。

 

【鯰絵8】

「鯰を押さえる鹿島大明神」

 

[展示史料]
【史料1】「日記」(大森智家文書 50)
【史料2】「(弘道館)学校日記」(和11-34-7)
【史料3】「日記」(関沢賢家 83)
【史料4】「日記金銭出入帳」(中島家 584)
【史料5】「安政二乙卯日記」(須田家 68)
【史料6】「大地震ニ付村方破損所相改書上帳」(会沢家 577)
【史料7】「(安政大地震につき報告書状)」「(安政大地震被害棟屋敷書上〔水戸藩〕)」
「(安政大地震即死者等書上〔水戸藩〕)」(関哲雄家 440-11,12,13)
【史料8】「(関沢源次右衛門宛福田三郎兵衛地震近辺無事の旨書状)」
(関沢賢家 145-23)
【史料9】「(大震及び異船渡来ニ付質素倹約武備之儀等家中一統相心得候様達)」
(岡崎家70-2)
【史料10】「(去る十月二日の地震ありこの先飢饉の備えとして蓄倉を設けること取り計らう旨直書)」(高橋キヨ家 236-2)
【史料11】「(大地震にて火の元大切ニ付入念夜廻並伊勢屋方掛合骨折等に付褒賞米二斗下賜状)」(塙仲雄家 506)
【史料12】「(達)〔大地震につき世上安全祈祷の件〕」(鹿島則幸家 1034)
【史料13】「宮司家書留集〔安政二年一〇月大地震ニ付水戸様安全寸志御祈祷之事など〕」
(鹿島則幸家 281)
【史料14】「乍恐以書付願上候事〔大地震につき祈祷願〕」(菅谷明家 460)
【史料15】「(江戸小石川御屋形大地震ニ付御手伝人足割合依頼)」(大場家 118)
【史料16】「差上申御請書之事(御屋輔様地震類焼につき村々寺社境内山林并所持之分共御普請中伐木差し止めの件)」(青木喜太夫家 2959)
【史料17】「申渡書〔大地震により住居潰類焼、御勝手向御不行届の為、御用金惣高割、身元御用金仰付〕(飯村(芳)家 1982-11)
【史料18】「(地震見舞いなどにつき書状)」(稲葉家3 1446)
【史料19】「落葉の日記」(相羽家 bP)
【史料20】「一橋之方非常御定書」(一橋徳川家 I1-28)
【史料21】「(十月二日地震の際の対応につき褒美覚)」(三好家 1494)
【史料22】「刑部卿様御婚礼御用留(一条家諸懸合)」(一橋徳川家 C3-26)
【史料23】「刑部卿様御婚礼御用留(公辺御書付他)」(一橋徳川家 C3-21)
【史料24】「刑部卿様御婚礼御用留」(一橋徳川家 C3-23)

鯰絵(壁面展示)
参考資料 「安政の大地震図」
【鯰絵1】 「天駆ける八幡宮・太神宮・鹿嶋大明神」
【鯰絵2】 「おそろ感心要石」
【鯰絵3】 「鹿島大神宮託日」
【鯰絵4】 「自身除妙法」
【鯰絵5】 「あら嬉し大安日にゆり直す」
【鯰絵6】 「鯰と鹿島大明神の首引」
【鯰絵7】 「万歳楽身の用心」
【鯰絵8】 「鯰を押さえる鹿島大明神」
【鯰絵9】 「鯰に金銀を吐かされる持丸」
【鯰絵10】 「鹿島要石真圖」

 


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