弥勒仏立像 笠間時朝造立 (国指定重要文化財)
弥勒仏立像 笠間時朝造立 (複製) 原資料 笠間市 弥勒教会所蔵  
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笠間時朝が,本貫の笠間に造立したと伝える六仏の一つです。時朝は,下野の宇都宮氏の一族塩谷朝業の子で,元久(1204〜06)のころ,叔父の宇都宮頼綱の勢力を背景に常陸に入り,鎌倉将軍家の御家人として当時の新治東郡を領し,笠間に館を構えたといいます。宗家宇都宮氏は,代々信仰心深く,叔父頼綱は浄土宗に帰依し,父朝業も早く出家していたなどが時朝発心のもとになったことと思われます。また,宇都宮氏が,公家と交わった影響で,時朝の和歌は,勅撰集に収められ,自ら「前長門守時朝入京田舎打聞集」をつくるなど,御家人社会のなかでは,最も京風に心を寄せた武士でした。この像は,五十六億七千万年ののち,この世に生まれて成仏するという弥勒菩薩の如来の姿を予想して造られた弥勒仏で,像内と足柄に墨書銘があり,宝治元年(1247)の年紀と,時朝同身の弥勒であることが記されています。桧材を用いた寄木造,漆箔,玉眼嵌入の像で,肉取り豊かに,しかも引き締まった強い面相,量感のある体躯,彫り深く変化に富んだ衣文表現など,大仏師運慶にはじまる鎌倉時代の新しい様式を示す作品です。時期は,このほかにも笠間の楞厳寺に千手観音像,岩谷寺に薬師如来像を造立したのをはじめ,京都の三十三間堂の再興に結縁して千手観音像二躯を寄進し,また,常陸一宮鹿島社に唐本一切経を奉納するなど,自らの信仰を表わす作善を行っております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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