近世中期以降の農業生産力の発展は,農業を中心とする茨城の諸産業にさまざまな変化をもたらしました。紅花・い草・煙草・茶・綿などが商品作物として栽培され,大豆・小麦・菜種などの雑穀類も農産加工品の原料として流通するようになりました。このような商業的農業の発展は大消費地・江戸を背景とするものでしたが,茨城県内各地の交通の要衝には在郷町が繁栄し,その「町場」を核とする小規模な商業=経済圏が形成されていきます。